Sunday. 09 September 2018
占い師のクッション言葉は「あなたならできると思うから」
日本語の特徴として、依頼、提案、辞退、禁止、命令には、
「クッション言葉+内容+否定疑問文」
で伝えるのが一般的、という文化があります。
クッション言葉とは、枕詞というか、「すみません、」「よかったら、」「恐縮ですが」といった、お願いごとや断りごとの前につける言葉で、星の数ほど存在いたします。
例えば、「タロット教えてほしい」という依頼。
「タロット教えてください」では、命令になってしまうのです。
「お忙しいところ恐れ入りますが、タロットを教えていただけませんでしょうか?」
これが、日本人的な日本人の文章です。
でもね、お役所勤めが長かったり、
医師や看護師だったり、
広告業界や建築業界のように下請け会社を扱うことが多かったりすると、
この文化が身についていない場合があります。
灯香の周りにもいっぱいいらっしゃいます。
今まで特に気にすることはなかったのですが、
先日、そうした方と私の間で何度もメールをやりとりすることがあり、
なぜか私、イライラしてきました。なぜ?
メールを読み返すと、彼女からの内容が指示命令ばかりで、
私がなぜか、彼女の部下のような扱われ方!!!
でも、私、表世界では、日本文化や文章の講師でもあります。
そして、彼女は最近とても忙しい。さらに、上記のような業種の方。
彼女には、私に指示・命令を出しているつもりもなければ、
下請けのように扱ったり見下しているわけでもないのはよく知っています。
それでも、腹立たしいものですね。
ここは、我慢我慢。
解決方法は、2つあります。
①「内容だけを汲み取る」
②「直接会って話す」 です。
直接会えば、ほとんど場合、そんなことは二人の間には存在しません。
この前、親しくされているAさんから
「一緒に仕事をしていたBさんから、いきなり、“私はあなたの部下でなないです”と怒られて関係を切られた」と
すごく傷ついた様子でおっしゃってました。
もちろん、Aさんにはそんな気持ちは全くなく、忙しい時間の合間に必要な内容を簡潔に入力して送っていたのだと思います。
そして受け取ったBさんは、受け取るたびに、
「命令されてる!」「また上から目線!」「それって、私の仕事?」
という思いが蓄積されていったのだと思います。
今、私はちょっとBさんになりかけております。
誰でもAさんにもBさんにもなる可能性があります。
諍いの基本には、必ず相手への愛情があるという話をどこかで聞きました。
愛の反対は、憎しみではなく、無関心。
無関心だったら、諍いなんて起こりませんものね。
相手が好きだから、自分が望まない行動を取ったとき、
怒りになり、恨みになり、嫉妬になります。
相手の文章がたとえ丁寧でも命令口調でも、たかが文字の羅列。
違和感を感じたら、勝手に自分の心の中で、
「本当に申し訳ないけど・・・・・・・できないかしら?」
って、「クッション言葉+内容+否定疑問文」に換えてみて。
ちょっとステキな内容になるはず。
ちなみに聾者は、母語が手話。
そして、この「クッション言葉+内容+否定疑問文」の文化がないので、
いつもなんだか失礼な文章を書いてきます。
灯香は聾者の友人が多いので、
友人にこの文化があることや、変換方法を教えてあげたり、
自分の心の中で勝手に変換しております。
それでもなかなか、まだまだ、この文化の思考に翻弄されております。
さて、鑑定のときにいうときも同じ。
鑑定者と質問者、大抵は鑑定者の立場が上なので、言葉が上から目線になりがち。
「クッション言葉+内容+否定疑問文(大抵は「してみませんか?)」
に変換していくとよいと思います。
占い師のクッション言葉は、「もしよろしかったら」「よかったら」という一般的なものもいいですか、次のようなクッション言葉もおススメです。
・最初は大変かもしれませんが、
・あなたならできると思うから、
・少し勇気はいるけれど、
といったものかしら?
世界一、ハイコンテキストな日本語、面倒くさいところもあるけれど、
そこがまた、便利だったり楽しかったり。